レーガン元米大統領が6月5日にお亡くなりになり、6月11日に国葬がとり行われました。1994年にアルツハイマー病に侵されていることを自ら公表、米国民にあてた書簡で、「この病気に対する世間の認識を促したい」と訴え、療養生活を続けていました。
民間の介護保険の保障内容は、介護状態を10年間保障する、という趣旨の介護保険が多いです。これは、平均4.7年がねたきり状態(H7年東京都「高齢者の生活実態」より)という統計に基づき、介護状態はほぼ10年で終了するというデータを考慮しているからとの言われています。今回のレーガン元米大統領の死はこのデータを証明してくれたと私は思いました。
一般の人が介護状態になった場合、娘や嫁、最近は実の息子の虐待が行われていると報道されている昨今において、介護状態になった人は、そういう現実に直面して生きる活力を無くしてしまったり、周りに迷惑をかけないようにしようとストレスがたまる状況を考えると、長生きする環境は整っていません。
それに対して、レーガン元米大統領は介護にかかる費用も気にならないし、なんといってもナンシー夫人や家族のあたたかい介護にストレスを感じることもなく、介護状態になっている人においては最高に良い環境であったのではないか、と思います。
そのレーガン元米大統領のような恵まれた環境にいる方でも、介護状態は10年という事実はこれからの高齢化社会での介護を考えるには非常に重要なデータを残してくれたのではないでしょうか?
米国民にあてた書簡、「アルツハイマー病に対する世間の認識を促したい」というレーガン元米大統領の願いは叶えられたと私は思います。
もし、身内の方がアルツハイマー病にかかった場合、最長10年は介護状態になるということを考慮し、自分の役割やライフプランを考えることによって、高齢者虐待が少しでも防ぐことができ、介護をすることが特別なことではないという環境が整うのではと思います。