本日7月6日は、最高裁にて生命保険業界にとって大変重要な判決がありました。年金形式で受け取る生命保険金をめぐり、相続税に加え、受け取るたびに所得税を課すのは二重課税かどうかが争われた訴訟です。
原告は長崎市の主婦(49)で、2002年10月に亡くなった夫が、生命保険に加入しており、一時金4000万円の他、10年間にわたり毎年230万円の年金を受け取る権利を取得しました。この年金部分に2つの税が課されるのはおかしいとして05年8月に訴訟。
■06年11月・長崎地裁・・・主婦勝訴
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■07年10月・福岡高裁・・・主婦敗訴
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■10年7月・最高裁・・・・・・主婦勝訴
ということで本日、二重課税は違法との判決です。
この保険は、「収入保障保険」といって、通常の定期保険より保険料が割安なこともあり、大変人気があります。同じような契約は数万件に及びますので、国税庁側にとっては、1968年の通達以来、二重課税が税務の常識として課税が続けられてきたわけであり、今後膨大な件数の還付を求められる可能性があります。
各保険会社の法務部・広報部は、判決の行方を待ち望んでいました。本日の最高裁の判決について、共同通信社より私のコメントを求められ、全国52の新聞社をはじめ、民間放送局や海外メディアに配信されました。
本日は、「女性FP養成コース」の日なので、18時終了後にメールを確認すると、某保険会社からの広報部の方から「コメント拝見しました!」と連絡をいただいて、慌てて夕刊を買いにいきました。
ちょっと難しいのですが、『同一の資産に対し、二重に課税されることは許されないという税務の基本的な考え方からしても、本日の最高裁の判決は常識的な判決であり、高く評価されるものである。
もともと収入保障保険の保険料の安さと合理性は、他の保険商品と比べて圧倒的に競争力があるが、保険会社にとっては収入保障保険のアキレス腱であった二重課税問題が解消されたことにより、今後はさらに売れ行きが伸びることが予想される。』というのが、本日の最高裁の判決に対する私の見解です。