第2回目の群馬でのセミナー。お仕事を早く引き上げて、新潟から、長野から、また参加していただきました。質問をたくさんいただき、その中でも「経営者保険」についての希望が多かったので、カリキュラムを大幅に変更して、お話してきました。全員女性スタッフですが、みなさん真剣です。
「経営者保険」とは、会社の経営者に対しての保険。実は、5月1日の新会社法の施行にともない、「経営者保険」の知識を知っている人と、知らない人では、決算書にも大きな違いがでることになるのです!
まず、企業に勤めている人と、社長さんとの大きな違いを考えてもらいました。60歳という、定年退職まで勤めて退職金がもらえる人が企業に勤めている人。もらえない人が、会社の社長さん。なぜ、退職金がないか、というと、社長さんには定年退職がないからです。一生涯社長、ということもできるからです。
でも、ずっと働くことを前提としなかったり、働くつもりでも、万が一優秀な後継者がいて勇退したいな、って思ったとき、「やっぱりお金がないから働かなくては・・・」という選択肢しかないよりは、働くこともできるし、勇退することもできるという選択できる人生のほうがわくわくしませんか?
そんなことで、有効に使えるのが「長期定期保険」です。定期保険って、期間が決まっているので、通常保障のみの『かけすて』というイメージがあるのですが、期間が長いことによって、お金もためるという機能が自動的にくっついてくるのです。
新会社法は、
●同族関係者が、発行済み株式総数の90%以上保有している場合
●役員構成が、同族関係者で過半数を占める場合
この2つの要件を満たす場合、今まで給与が損金扱い(経費)になっていたのが認められなくなってしまうのです。中小企業は、社長さんがほとんど株をもっていますし、役員構成が家族というのがほとんどです。つまり、「給与所得控除」がなくなるということは、
*売り上げ−給与控除=利益
*売り上げ ⇒そのまま利益
となってしまうので、利益幅が多く見えて、結局法人税を多く払うことになってしまうのです。
ここで、給与控除分を経費として何に使おうか、考えます。通常、税金でもってかれるくらいなら、自分のために使おうと思って、飲食代を増やしたり、とにかくあせってお金を無くそうとします。
一時期はよいのですが、おいしい思いはできてもお金は残りません。つまり、グルメしたなあと思っても、退職金ほどのお金を貯めることができないのです。
だったら、飲食代の予算を「長期定期保険」の保険料として使ったらよいのです。加入保険金額を5000万円でも、1億円でもいいのです。万が一のことがあった場合、その保険金で従業員の1年くらいの給与は払ってあげられます。元気であれば、自分が退職するときに解約してしまえば、解約金を退職金として用意することができます。
保険料を「損金」扱いにできるのです。つまり、今までの給与控除分相当額を保険料にしていくのです。一定の期間は、保険料の2分の1を損金扱いにできます。全額損金にできる期間もあります。
損害保険会社が出している「長期傷害保険」というのが、生命保険の「長期定期保険」と同じような用途として使われる保険ですが、全額損金扱いで税法上のメリットが高いので、この保険を活用していた社長さんが多かったのです。
でも、税法上が今年の5月から変更になり、4分の3を資産計上、4分の1を損金扱い、とメリットがなくなってしまったので、途方にくれている経営者が多いと聞いています。
経営者って、「損金」とか「益金」という言葉が大好きです。この言葉さえ押さえれば、会社の社長さんと対等に話ができます!ということもお話してきました。
保険って経済的リスクを補うものですが、その基本と税金のしくみを理解すると、いろんな使い道があります。何事もちょっと意識するだけで、点と点がつながって、線という手堅い知識となるのです。
みなさん、3回目もがんばっていきましょう!