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【雇用調整助成金】<計画届編>4月以降の休業分を自己申請できるかの見極めポイント(4/24改訂版)

2020年4月29日

雇用調整助成金の手続き<計画編>

この知識はこんな方におすすめ

  • 雇用調整助成金の申請をしてみようと思っている中小企業の社長・個人事業主
  • 雇用調整助成金の自己申請を試みていてつまづいている中小企業の社長・個人事業主
  • コロナウィルス感染症で売り上げが減ったので、休業を検討している中小企業の社長・個人事業主

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新型コロナウィルスの収束に目途がつかず、スタッフがいる中小社長・個人事業主は雇用を維持できるかギリギリの攻防となっています。2月中旬から、雇用を維持した企業に休業手当を助成する雇用調整助成金の支給要件を段階的に緩和したり、4月から書類の簡素化を発表しましたが、ほとんど活用されていないのが現状です。中小社長や個人事業主は資金繰りへの不安から、スタッフを解雇したり、契約解除したりすることが相次ぐことになりかねません。

それを防ぐために、国が雇用保険を活用し、休業手当額の一定割合をスタッフに直接支給ではなく、会社に助成するのが雇用調整助成金です。令和2年4月1日から6月30日までを緊急対応期間と位置づけ、「特例措置✖書類の簡素化」になったとはいえ簡素化=簡単ではないのが現状です。

このページでは、大企業の記述は割愛させていただき、4月1日以降の休業分について雇用調整助成金の申請を検討している中小企業の社長・個人事業主の方向けに、書類の詳細を事前に確認して自己申請できるか、できないか、見極めができるために解説していきます。雇用調整助成金での中小企業事業主とは、 以下の定義となっています。

小売業(飲食店を含む) 資本金 5,000万円以下又は従業員 50人以下
サービス業 資本金 5,000万円以下又は従業員 100人以下
卸売業 資本金 1億円以下又は従業員 100人以下
その他の業種 資本金 3億円以下又は従業員 300人以下

あてはまる中小企業の社長・個人事業主さまは雇用調整助成金を活用するかどうかの参考にしてください。

何が簡素化されたの?

令和2年4月10日に発表された、書類の簡素化について解説します。

書類簡素化は、4月1日から6月30日休業分です。新型コロナウィルス感染症特例措置の雇用調整助成金は1月24日からの休業分にさかのぼって申請が可能ですが、要件緩和や書類の簡素化は3月31日以前には適用されませんので注意してください。

「令和2年1月24日まで遡るもの」と「令和2年4月1日から適用されるもの」の2つの特例措置があります。申請していくのに、混同してしまう部分ですので、確認したい方は、以下の記事をご一読ください。

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「雇用調整助成金」は前からある助成金で、厚生労働省管轄の雇用維持のため休業手当に要した費用を助成する制度です。あくまでもスタッフがいる社長・個人事業主への助成金ですので、一人社長や一人個人事業主がもらえるお金ではありません。イメージとしては、「この難局を自分でだけでなく、スタッフ全員で乗り越えていきたい!」という社長さま、個人事業主さまへの助成金制度となります。

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主な簡素化事項としては、以下の項目です。

記載事項を約5割削減

  • 73事項→38事項に削減

記載事項の大幅な簡略化

  • 日ごとの休業等の実績は記載不要(合計日数のみで可)

添付書類の削減

  • 資本額の確認の「履歴事項全部証明書」等を廃止
  • 休業協定書の労働者個人ごとの「委任状」を廃止
  • 賃金総額の確認のための「確定保険料申告書」を廃止(システムで確認)

添付書類は既存書類で可に

  • 生産指標→「売上」が分かる既存の書類で可
  • 出勤簿や給与台帳でなくても、手書きのシフト表や給与明細でも可

休業が4月1日をまたぐ場合は、簡素化が適用にならないので注意してください。

計画届の提出に必要な書類(休業)は4つ

それでは、計画届4種類について、令和2年4月24日時点「雇用調整助成金 ガイドブック(簡易版)」を抜粋しながら説明します。

雇用調整助成金ガイドブック(簡易版)

P2に「計画届4」と「支給申請6」の一覧表があります。

「計画届の提出に必要な書類(休業)」は以下の4種類です。

計画届の提出に必要な書類(休業)出典:「雇用調整助成金 ガイドブック(簡易版)」

①、②、④の書類は厚生労働省のHP「新型コロナウィルス感染症対策特例措置用 雇用調整助成金」からダウンロードできます。内容に改定があるごとに、改訂版が出ます。旧版は受理されない可能性もありますので、申請する場合は常にこのページを確認してダウンロードして使ってください。なお、赤丸で囲んである①と②は、雇用保険に未加入のスタッフ向けの「緊急雇用調整助成金」の場合、様式が異なりますので、注意してくだささい。

「支給申請に必要な書類(休業)」はこちらをご参照ください。

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国が雇用保険を活用し、休業手当額の一定割合をスタッフに直接支給ではなく、会社に助成するのが雇用調整助成金です。令和2年4月1日から6月30日までを緊急対応期間と位置づけ、「特例措置✖書類の簡素化」になったとはいえ、簡素化=簡単ではないのが現状です。
このページでは、大企業の記述は割愛させていただき、雇用調整助成金の申請を検討している中小企業の社長・個人事業主の方向けに、書類の詳細を事前に確認して自己申請できるか、できないか、見極めができるために解説していきます。

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以下では、雇用保険被保険者の書類詳細について解説していきます。

【計画届①】休業等実施計画(変更)届

正式名称は、様式第1号(1)休業等実施計画(変更)届です。

ガイドブック(簡易版)とダウンロードのページにもありますが、以下の記載例を使ってポイントも交えて解説していきます。

様式第1号(1)休業等実施計画(変更)届

ポイント1:対象期間は1年

①-(3)対象期間」は、休業開始月と1年後の日付を記載します。例えば、3月1日から休業を開始するのであれば、青字で記載しているように「令和2年4月1日~令和3年3月31日」となります。

ポイント2:判定基礎期間は1カ月

◆判定基礎期間」は賃金締切日毎で記載します。例えば、賃金締切日が末日の場合、青字で記しているように「令和2年4月1日~令和2年4月30日」となります。

ポイント3:休業内容は見込で記載

③-(1)休業予定日」は、実際に会社が休みでない日以外すべて記載してください。なぜなら、記載した日数より減る場合は変更届をしなくてもよいのですが、増える場合は届け出をしなければならないからです。

この理解が難しい場合は、土日がお休みの会社であれば、元々会社が休みである土日以外の全日程を書けば間違いありません

ただし、実際に休業するときは、支給要件の1つである休業等規模要件1/40をクリアしていることが重要です。休業等規模要件とは、「休業判定基礎期間における対象労働者に係る休業の実施日の延日数が、対象労働者に係る所定労働延日数の 1/ 40以上」ということです。

計画届に書くのは、あくまでも休業予定日なので、実際に会社が休みでない日以外すべて記載してもらえばよいのですが、実際のシフトがたったの数日ということでは、休業等規模要件を満たさないということも考えられますので、漠然とシフトを組むのではなく、休業等要件要件1/40をクリアするように意識してください。

また、4月24日の改正で2回目以降の提出を省略できるとしましたが、ハローワークの窓口も混乱しているので、今までどおり、1カ月毎の賃金締切日に連動して4月、5月、6月と作成して提出する方が安心です

月間予定表を毎月作るようなもの、というイメージです。

【計画届②】雇用調整事業所の事業活動の状況に関する申出書<初回のみ>

正式名称は、新様式特第4号 雇用調整実施事業所の事業活動の状況に関する申出書です。

ガイドブック(簡易版)とダウンロードのページにも記載例がありますが、以下の記載例を使ってポイントも交えて解説していきます。

事業活動の状況に関する申出書

ポイント1:月間売上高が減っているか

計画届を提出した日の前月の生産指標と前年同月の生産指標を記載します。気を付けるポイントは、漠然と記載するのではなく、支給要件の1つである、4月1日以降の休業に対して、売り上げ5%減を意識して計画届の提出日を決める必要があります。

例えば、5月に休業する場合、計画届をいつ出すかによって、以下のように生産指標の比較月が異なります。

6月に計画届出を提出(事後)

  • 令和2年5月分と令和元年5月分の比較

5月に計画届出を提出(同時)

  • 令和2年4月分と平成31年4月分の比較

ここがクリアされないと、支給されませんので、気を付けましょう。また、比較する月は計画届の提出日の前月となりますので、前年同月と比較して5%の売り上げ減の月を狙って計画届を出すという対策ができるともいえます

ポイント2:新型コロナウィルス感染症で売り上げが減ったことを記述する

「生産量等の減に至った理由として次の事項が該当しますか。」の記載事項は決まっています。図にあるように、青字で記しているように「1~3」は「いいえ」、「4」は「はい」です。

厚生労働省の「雇用調整助成金 FAQ 」によると、「4」の具体的な記述については、

・観光客のキャンセルが相次ぎ、これに伴い客数が減り売上げが減少した
・市民活動が自粛されたことにより、客数が減り売上げが減少した
・行政からの営業自粛要請を受け、自主的に休業を行い、売上げが減少した

などの例が掲載されています。

「商品が欠陥だったから売り上げが減った」などの理由はダメです。不支給にならないためにも、新型コロナウィルス感染症で売り上げが減ったことについて、具体的な記述をしましょう。

ポイント3:売り上げ減を証明する書類を添付する

4月1日以降の休業に対して、計画書を提出する前月と前年同月と比較して、売り上げ5%減は支給要件の1つです。それを証明するために、売上高、生産高又は出荷高を確認できる書類の「最近1カ月」と「前年同月分」の2つを添付します。添付書類のイメージは以下です。

業種によって、名称は異なりますが、「損益計算書」や「総勘定元帳」のコピーを準備しておきましょう。

【計画届③】休業協定書

この書類は、厚生労働省のHP「新型コロナウィルス感染症対策特例措置用 雇用調整助成金」からダウンロードできません。労働局のサイトに掲載されているケースが多いです。

例えば、事業所が愛知県であれば、Google検索で「休業協定書 愛知労働局」すると、「休業等実施計画(変更)届関係申請様式」→「休業協定書」からダウンロードできます。

ガイドブック(簡易版)にも記載例がありますが、ここではポイントも交えて解説していきます。

ポイント1:休業の時期は計画届に合わせる

前述の「休業届実施計画書(変更届)」に記載した判定基礎期間と同様に、賃金締切日毎で記載します。例えば、賃金締切日が末日の場合、青字で記しているように「令和2年4月1日~令和2年4月30日」となります。

ポイント2:休業手当は平均賃金の60%以上で設定する

スタッフと取り決めした、休業手当の「%」を記載します。気を付けるポイントは、漠然と記載するのではなく、支給要件の1つである、休業手当を60%以上を意識して記載する必要があります。

「休業協定書」の最大のポイントは、記載例というより、この休業手当を何%にするかを社長・個人事業主の方がスタッフと話し合いで決めることです。なぜなら、雇用調整助成金を受け取るためには、平均賃金の60%以上の休業手当を支払う必要があるからです。60%、80%、100%にするか、その率を決めなければ、休業協定書を作成することはできません。休業手当については、労働基準法にて以下のように定められています。

労働基準法 第26条(休業手当)

使用者の都合により労働者を休業させた場合には、休業させた所定労働日について、平均賃金の60%以上の賃金(休業手当)を支払わなければなりません。

出典:大阪労働局「労働基準法ワンポイント解説(平均賃金)

休業手当は、休業する前3カ月の平均賃金が元になります。平均賃金の計算には、通常、3カ月を超える期間ごとに支払われる賞与以外、毎月給与日に支払われている手当を含みます。休業協定を取り決めする際は、最低賃金の60%を下回らないためにも、基本給以外にどんな手当を含むのかを明確にして、記載する必要があります。

平均賃金の計算方法としては、2つあります。

平均賃金の計算方法

①【原則による計算】3か月間の賃金の総額 ÷ 3か月間の歴日数

②【最低保障による計算】3か月間の賃金の総額÷3か月間の労働日数✕60%

①と②の高い方が平均賃金となります。休業手当が平均賃金の60%を下回ると、雇用調整助成金は支給されませんので注意しましょう。

ポイント3:失効しないようにする

前述の「休業届実施計画書(変更届)」に記載した判定基礎期間と同様に、賃金締切日毎で記載します。例えば、賃金締切日が末日の場合、青字で記しているように「令和2年4月1日~令和2年4月30日」となります。

休業協定書が失効してしまうと、改めて提出が必要となります。「休業協定書」は初回のみの提出書類ですが、ハローワークの窓口も混乱しているので、1カ月毎の賃金締切日に連動して4月、5月、6月と作成して提出する方が安心です。

2回目以降の提出が省略された「休業届実施計画書(変更届)」とセットで、「休業協定書」も毎月提出するもの、というイメージをしてください。

ポイント4:「労働者代表選任届」を添付する

この書類は、厚生労働省のHP「新型コロナウィルス感染症対策特例措置用 雇用調整助成金」からダウンロードできません。労働局のサイトに掲載されているケースが多いです。例えば、事業所が愛知県であれば、Google検索で「労働者代表選任届 愛知労働局」すると、「休業等実施計画(変更)届関係申請様式」→「労働者代表選任届」からダウンロードできます。

ガイドブック(簡易版)には記載例はありません。ここでは、以下の「労働者代表選任届」を使ってポイントも交えて解説していきます。

労働者代表選任届

この雇用調整助成金を受け取った場合、抜き打ちの立ち入り検査が行われる可能性がとても高いです。その時、労働者代表選任届に記載されたスタッフ代表者に対してのヒアリングが行われる場合もあります。知らない間に、選任されていたということがないように、きちんと趣旨を理解してもらう必要があります。

また、書類の簡素化に伴い、「労働者代表選任届」に添付する「委任状」は提出義務はありませんが、立ち入り検査のときに提示を求められる可能性もありますので、後々は以下のような「委任状」をとっておきましょう。参考は、東京都労働局の「委任状」ですが、被保険者番号の記載が必要なフォームになっています。スタッフの過半数以上の署名・押印が必要となります。

委任状

【計画④】事業所の規模を確認する書類<初回のみ>

事業所の規模を確認する書類です。既存の労働者名簿及び役員名簿で可能です。

既存の名簿書類がない場合、支給申請に必要な書類で使う「様式第6号支給要件確認申立書」の最終ページにある(別紙)「役員等一覧」を使います。

ガイドブック(簡易版)とダウンロードのページにも記載例があるので、それらを活用して作成してしまいましょう。参考までに、以下に記入例を掲載します。

以上、「計画届の提出に必要な書類(休業)」の4種類の解説でした。

まとめ

新型コロナウィルス感染症特例措置「雇用調整助成金」は、新型コロナウィルスの感染拡大を受け、休業などの雇用調整をした場合、スタッフへの休業手当の一部を国が助成する制度です。直近1カ月の売り上げなどが前年同期比で5%減った場合、中小企業には休業手当の最大90%を支給しますが、手続きが煩雑で受給までに時間がかかる課題が指摘されています。

もらえる助成金の金額から考えると、自己申請を試みる社長・個人事業主も多く、その際、書類の詳細を事前に確認して自己申請できるか、できないか、見極めができるために、「計画届」の書類の詳細について解説しました。

全体像を把握した上で、自己申請ができるという社長・個人事業主は、厚生労働省などのHPから最新の書類をダウンロードして、それぞれのポイントを確認しつつ、書類を作成してください。

私が一番難関だと思うのは、計画届4つの中で一番難関なのは、「③休業協定書」です。記入事項が難関というわけではなく、休業手当を100%にするのか、80%または60%で我慢してもらうのか、資金繰りも考慮しつつ、社長・個人事業主がスタッフと取り決めをすることです。いずれしろ、社員から不満が出ないうちに取り決めをしておくことをオススメします。

また、休業手当の額について、専門家が必要な場合は、全国の社会保険労務士をご活用ください。休業手当の額が不足していても、差額を支払えば支給できる可能性はありますが、不支給にならないためにも、このコロナの難局を乗り越えるためにも、社会保険労務士をご活用ください。

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